夫婦関係の破綻・婚姻関係の破綻
虚偽の主張
夫婦関係の破綻や婚姻関係の破綻といった言葉を、普段はあまり耳にすることはないでしょうが、不倫(不貞行為)を原因とした離婚請求や慰謝料の請求をした時などに、浮気をした配偶者やその愛人、相手方の弁護士から伝家の宝刀の如く放たれる「夫婦関係は既に破綻していた(破綻していたと聞いていた)」と聞かされる言葉になります。
離婚裁判や不貞行為で慰謝料を求める民事訴訟において、なぜこうも夫婦関係の破綻や婚姻関係の破綻といった言葉が頻繁に使われるようになったのか?
これから離婚裁判や慰謝料請求をお考えの方は、その原因や理由をよく理解し、頭に入れておく必要があります。
夫婦関係の破綻とは?
どうなっていれば夫婦関係が破綻しているとみなされるのか?
どこからが破綻状態で、どこまでは破綻ではないのか?
夫婦関係破綻の定義は状況や夫婦関係のある方によってさまざまな判断がなされます。
- 別居して○年
- 生活費を入れなくなって○ヶ月、○年
- 家庭内別居の状況や期間
- セックスレスであるか否か? またはその期間
- 婚姻期間はどれだけなのか?
さまざまな要因によって判断されるものですから、かなりの個人差があります。
ただ、夫婦で話し合った結果、「子供が社会人になったら離婚する」「子供が結婚したら離婚をする」といったように期限を設け、将来の離婚が約束された状態で別居が開始されたようなケースは、その事実をもって破綻の起点とされることになります。
また、浮気をしている側(有責配偶者)が離婚したいあまり無理やり別居に持ち込み、夫婦関係の破綻を理由に慰謝料請求を逃れようとしたりするケースも多くありますが、有責配偶者からの離婚請求は基本的に認められることはありません。
夫婦関係の破綻主張が頻発されている原因
不貞が原因で慰謝料請求や離婚裁判を起こされた相手方の8割が「夫婦関係の破綻」を主張しています。
過去に当探偵社で行った数多くの浮気調査によって、依頼人が不法行為における損害賠償請求(浮気の慰謝料請求)を行った結果、相手方が夫婦関係の破綻を理由に請求の破棄または減額を主張してきた割合は全体の80%になります。
その原因は「夫婦関係破綻後の浮気は不法行為には該当しないとした判例」にあります。
平成8年3月26日:最高裁判所判例
「甲の配偶者乙と第三者丙が肉体関係を持った場合において、甲と乙との婚姻関係がその当時既に破綻していたときは、特段の事情のない限り、丙は、甲に対して不法行為責任を負わないものと解するのが相当である。けだし、丙が乙と肉体関係を持つことが甲に対する不法行為となるのは、それが甲の婚姻共同生活の平和の維持という権利又は法的保護に値する利益を侵害する行為ということができるからであって、甲と乙との婚姻関係が既に破綻していた場合には、原則として、甲にこのような権利又は法的保護に値する利益があるとは言えないからである。」
上記の判決がなされたことにより、夫婦関係の破綻を主張することが、不貞を原因とした慰謝料請を退ける有効な手段と考える方が増え、浮気相手への請求も「既に破綻していたと聞いていた」と主張することが急増する結果になったのです。
特に探偵社が浮気調査を行った事案では、既に不貞行為の動かぬ証拠を原告側から示されているため、不貞行為そのものを否定することは出来ず、慰謝料から逃れるには「既に夫婦関係は破綻していた」と主張する以外にありません。
また、不倫相手への慰謝料の請求も同じく、逃れるには不倫した2人が口裏を合わせ「夫婦関係は破綻していたと聞いていた」と主張するか、「既婚とは知らなかった。自分も被害者。」と苦し紛れの言い逃れをするしかありません。
愛人からの慰謝料請求の可能性はある
不法行為の要件を満たすには、相手に故意はたは過失があることが条件となります。
相手が既婚者と知っていながら(故意)、または既婚であることを知り得たにもかかわらず(過失)、肉体関係を持った場合、不法行為が成立します。
したがって、不倫相手が本当に既婚者であることを知らなかった場合、または推測できる立場でもなかった場合には、相手も騙されていたことになることから、慰謝料を請求することはできない可能性があります。
配偶者が独身と偽り、浮気相手と交際し、その相手に結婚をする約束などをして精神的被害を与えた場合などには、逆に相手から配偶者に慰謝料請求をされる可能性がありますので注意が必要です。
ただし、交際関係にありながら既婚であることを疑う余地もない状況は極めて稀であり、浮気調査や信用調査にて、「相手が既婚者である事実を知りえる立場であったことが判明する」ことは多々あります。
慰謝料から逃れる為に知らなかったと偽るケースが大半であることから、本当に騙されていたという事案はほぼ無いのが現状です。
夫婦関係の破綻と浮気調査
長年探偵をやっている者であれば、「夫婦関係の破綻」という言葉は耳にタコが出来るくらい頻繁に聞く言葉になります。
ですので、弊社に来る相談者さんには、慰謝料請求を逃れる目的で夫婦関係の破綻主張などの言い訳をすることは、当然のように既に織り込み済みの想定内のリアクションといえます。
あらかじめ破綻主張に対する予防処置もアドバイスしております。
例えば
- 一緒に家族旅行に行く
- 一緒に食事に行く
- 一緒に買い物に行く
- 一緒に子供の行事に参加する
- 一緒にビデオを見た
どんな些細なことでも証明できるよう記録(写真屋レシートの保管など)するようにしていただき、対象者が単身赴任で「妻(夫)とは別居中」と偽られる可能性がある時には掃除にいって食事を作ってもらうなど、破綻をしていないと証明できる手段は、数多くあります。
夫婦生活があった時に避妊具を残しておくなどされたら、100%相手の破綻主張は通りません。
行うまでもないでしょうが、否定された場合はDNA鑑定で証明が可能となります。
家庭内別居状態だったといった主張など崩すのは造作もないことですし、そもそも、そのような嘘が通用するほど甘くはないのが現実です。
当然、夫婦関係の破綻を主張されることを前提に調査を行っていますので、調査中に判明したことは全て依頼者さんにお知らせしております。
しかしながら、本当に破綻している状況では慰謝料請求が認められるのは難しいです。
慰謝料請求をするというのは1つの戦いでもあります。
戦いに勝つには、相手の先方を知り、先に対策をうってから戦いに臨むことです。
相手が抗弁してくるであろう、あらゆる先方を予測し、逆襲できる材料と戦術さえ揃えておけば、簡単に相手は落ちます。
卑怯な手段を使う相手に負けないよう、充分な準備をするようにしましょう。
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