「会社の同僚が社内不倫をしているので証拠を掴みたい。」といった内容のご相談をいただくことがありますが、雇用関係にあるなどのケースを除き、調査依頼をお断りさせていただくことがあります。
個人情報保護法 第十八条(取得に際しての利用目的の通知等)
個人情報保護法では、「個人情報を取り扱うに当たっては、その利用の目的(以下「利用目的」という。)をできる限り特定しなければならない。(第十五条)」「あらかじめ本人の同意を得ないで、前条の規定により特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を取り扱ってはならない。(第十六条)」とされています。
また、「個人情報を取得した場合は、あらかじめその利用目的を公表している場合を除き、速やかに、その利用目的を、本人に通知し、又は公表しなければならない。(第十八条)」と定義されています。
しかしながら、十八条には4項において「次に掲げる場合については、適用しない。」と定められています。(※例外規定)
- 利用目的を本人に通知し、又は公表することにより本人又は第三者の生命、身体、財産その他の権利利益を害するおそれがある場合
- 利用目的を本人に通知し、又は公表することにより当該個人情報取扱事業者の権利又は正当な利益を害するおそれがある場合
- 国の機関又は地方公共団体が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、利用目的を本人に通知し、又は公表することにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき。
- 取得の状況からみて利用目的が明らかであると認められる場合
同僚の方からの浮気調査をお断りしなければならない理由
個人情報保護法の例外規定にある「利用目的を本人に通知し、又は公表することにより本人又は第三者の生命、身体、財産その他の権利利益を害するおそれがある場合」により、利用目的を調査対象者に通知しなくてよいケースとは、一般的に以下に該当する場合になります。
- 依頼人と対象者が夫婦(事実婚含む)である場合
- 依頼人と対象者が親子の場合
- 依頼人と対象者が法律行為の相手方である場合。
- 依頼人が対象者から被害を受け、被害防止に必要な場合
上記項目に同僚は該当しないことから、同僚の社内不倫を明らかにしなければならないケースを想定すると、まず法律関係(雇用関係)にある会社の経営者に相談され、経営者が会社の権利利益を害する可能性がある為に必要な調査であると、探偵社に調査依頼をされる必要があるということになります。
ただし、経営者からの調査依頼であれば全て問題ないということではありませんので、利用目的をお伺いさせて頂いた上での個別の判断となります。
従って、必然的に「姉妹同然の親友のことが心配だから私が代わりに浮気調査を依頼する。」という調査依頼もお引き受けすることができません。
探偵業の業務の適正化に関する法律等の解釈運用基準
警察庁から示されている「探偵業の業務の適正化に関する法律等の解釈運用基準について」においても、探偵業法第十条1項に関して「個人情報保護法第18条1項においては、個人情報取扱業者が、個人情報を取得した場合には、その利用目的を本人に通知し、又は公表することとされている。同項の適用が除外されるのは、あくまで第4項各号に掲げる自由に該当する場合であり、法第10条第1項によって、探偵業者一般に個人情報保護法第18条1項の適用が除外されるものではないことに留意する必要がある。」とされていることから、浮気調査を依頼できるのは「利用目的を本人に通知し、又は公表することにより本人又は第三者の生命、身体、財産その他の権利利益を害するおそれがある場合」に該当する立場にある人物に限定されるのです。